電通大に入学して4年目。合計取得単位18。もう3年以上勉強をしていない。
留年、不登校、ニート、うつ病、社会不安障害etc.
この底辺大学生が、なぜまだ退学しないのか、について話す。
なぜ大学を退学しないか?
大学生という身分を失いたくないから。
一応勉強して入った大学だから。
高校が最も嫌な時代だった。
学校生活で特に苦しかったのは、ぼっちでクラスで浮いていたこと、成績が落ちたこと、部活の顧問と揉めたことだ。
ぼっちと成績は自分が至らない人間だから勝手に苦しんだ類だが、部活の顧問と揉めたことに関しては何とも言えない。
顧問は機嫌が悪いと生徒に八つ当たりする人間だった。
職員室の前で理不尽な公開説教をされたり、「あなたは冷酷。性格が悪い」と人格を否定されたり、「育ちが悪いから、クズに育つんだ」と親を軽蔑されたりと、かなり不愉快な思いをした。
大学を退学すれば、あの苦痛に耐えた時間、我慢が無駄になってしまう。
生きる道を選ぶなら、どんな大学でもいいから卒業はしたい。
大卒という経歴がほしい。
金持ちだったら、とっくに通信制大学に行き、適当に哲学や倫理を学んでいただろう。
祖父母の家で祖父母の介護をしながら、働かずにずっと勉強できただろう。
でも貧乏人にそんな夢が叶うはずがない。
それに働いてまで生きようとは思わない。
なぜ大学にこだわるか?
大学を卒業しないのは、自分にとって無学歴に等しいから。
実家が太いだけで、どんなに頭の悪い奴でも、素行の悪い奴でも大学を出れる時代に、自分が高卒で生きることが悔しいから。
ではなぜ勉強しない?
興味がないから。
興味がないのに理系に進んだのは就職に有利だと思ったから。
まだ勉強と就職する気があった頃の話だが。
間違えるのが怖いから。
教授や他の生徒に「こいつはこんな問題も分からないのか」と思われるのが怖いから。
じゃあ働けば?
人間と関わりたくない。
外に出たくない。
働かなくても仕送り額が多い、または奨学金を借りなくても大学に入れる同世代が多くいるのに、なぜ自分は苦労してまで生きるために金を稼ぐのか分からない。
どうせ自殺するのに。
自殺する前に退学する予定ではある。
おそらく2024年3月頃になるだろう。
それまでは大学生でいた方が気が楽だから、退学したくないわがままなクズの話。
終わり。
生者の後ろで死神は蔑 する
手首の香水に誘われるコバエのいやらしさ
桜の破片は虚しいほど白く
煙をくぐる人間の耳に
爽快感を割る音は
道路をなぞる肌寒さに紛れて
太陽を浴びる真っ白な建物と
雲一つない青空の境目
窓辺に寝そべる人間と床の間に
クモが一匹
ベランダからカーテンの隙間に見える死に神
向かいのアパートの蛍光灯が不規則に点滅する
孤立無援のシケモクに
コツっと灰瓶を置く音と歩行に連動する鈴の音
23時にしては静かな雰囲気が頬をなでて
自転車が緩くブレーキをかけた
風が変わった
春が隣に座ろうとしている人生の終わり
白煙が眼球を這い
灰紫色の雲がかかる暗夜に
散水車が撒く眩いライトは
水たまりの赤信号と混じり
オレンジのハレーションを生んだ
雨どいを伝う悲しみの音を
パトカーのサイレンが加速させる
むせるくらい空気を吸って
湿度68%の部屋に帰る
梅の蕾が開く季節
見上げる空に星ひとつない
白いペンキが肩の骨に沿って筋になる
ラベンダーは終焉の香り
指先で小さく火花が咲いて
バイクのウインカーがチックタク
爪の間に挟まる唇の皮と鉄が
無意味な焦燥を育み
校庭の中心に非力な人間共
地獄から這い上がる地響きは
畏れを越えた先に在る空漠と
慣れ始めた地球の身震いに共鳴する
大人の冷静さえ失わせた
神の試練は救いようがなく
未だ記憶を凍らせる