枕を新調するために母に3000円をねだったら「3000円の枕は高い」と言われた。
正直相場を考えれば安い方ではないだろうか。
今日は「3000円の枕は高い」と言う母の心理をかなり偏った視点で分析してみる。
自分(母)は3000円もしない枕を使っている(おそらく)。それで我慢している。
それなのに娘が自分より良質な枕を買い使うことに対して、少なからず嫉妬しているが故に「3000円の枕は高い」と言うのだ。
自分(母)以下の人間、母の基準から見れば働いていない人間、たとえ大学生であっても、金を稼ぐことをしない人間は自分以下なのである。
理系国立に合格しただけで、文系私立短大の母より私が優秀であったことは無論だ。
しかし母にとって学歴は人を判断する基準ではない。
金を稼ぐ能力のある人間が母の認める人間なのだ。
東大を出てもニートならば、母はこう言うだろう。
「頭が良くても働かないのは人間としてクズ」
東大を卒業、いや東大に合格している時点で、彼らは母より上のエリートである。
彼らはエリートであるのに、何らかの理由で働かないエリートを東北の百姓ごときが見下している。
反吐が出る。
立場をわきまえろ、無教養者。
以上はあくまで母に対しての話ですよ。
それに私はエリートではない。
世間は逆さに見るくらいがちょうどいい
"あなたも死んでいるの?"
鈴を鳴らしながら顔のない女が
寝ている僕の体をまたぎ
壁をすり抜けていった
真っ黒な視界の両脇に暗幕が上がる
コピー機の口からだらしなく垂れるか細い片腕
生気を失った温度を絡めて
未明に君と踊れたら
壁に掛かる君の肖像画は
季節の湿気に歪んでしまった
退屈そうな表情筋は
短絡な憎悪に支配され
焦点の合わなかった眼球は
ギョロリと睨みつけてくる
さみしいかな
食器用洗剤の終わりを告げるしゃぼん玉
顔の周りを無数に飛び交って割れた
花火みたいな排水口を
じっと見下ろし頭を上げたら
残像が咲いて枯れちまった
葉はアスファルトに擦れ、口元で燃える
風が唸る、春の訪れ
湿度49%の部屋に
取るに足らない舌打ち
朝支度で慌ただしい外の廊下と
寝床に入る自分
夢も希望もない新学期
マッチ棒は折れ
春夏用のサンダルは寒さを防げず
背骨が湾曲する
割れた爪の溝に固まった血
瞼を閉じて感じる重力
桜吹雪の中に消えてしまいたい